2025イノベーションハーバーが世界博覧会、成光精密港、京都KOINを訪問

2025イノベーションハーバーが世界博覧会、成光精密港、京都KOINを訪問

に転載します ファイナンシャルウィークリー

ビジネスメディア | 記者 馬兆麟 / 総合レポート

日本の関西で開催される2025年国際博覧会(EXPO 2025 大阪・関西万博)は、世界的な注目を集めるだけでなく、台湾と日本の産業、文化、イノベーション交流の新たな機会でもあります。今年8月には、文化部と国家発展委員会がそれぞれ主催する「We Taiwan Culture in 大阪・関西万博」と「2025 台湾テックウィーク」が開催され、両国の交流はますます活発化しました。9月初旬には、StartUP Harborが主催する「2025越境資源統合カンファレンス 京阪カンファレンス OVERSEA DEMO SHOW 2025」が正式に開催され、今年の台日イノベーション交流の集大成となりました。
このイベントはハーバー・エンジェル・システムが企画・運営し、40名を超える台湾のスタートアップ起業家、学術関係者、起業家メンターからなる「分野横断型イノベーション代表団」が参加しました。代表団は7日間かけて大阪から京都まで旅し、訪問、交流、プレゼンテーションを通して、台湾のイノベーション力が国境を越えて日本に浸透し、新たな国際協力モデルを確立できることを示しました。

大阪万博×台湾文化×テクノロジー交流

代表団の最初の訪問地は、大阪万博のテックワールド(台湾パビリオン)でした。活気に満ちたこのパビリオンは、今年最も期待されていた会場の一つでした。このパビリオンは、インタラクティブな技術展示と文化体験に重点を置き、イノベーションがいかにして文化発信の新たな言語となっているかを示しました。「スマート製造」や「持続可能な創造性」といったテーマエリアは、世界の持続可能な技術における台湾の創造性の重要性を象徴していました。台湾代表団は、中国語、英語、日本語の3か国語を駆使し、来場者に展示エリアの文化的特徴と背景を分かりやすく説明しました。代表団メンバーは、このように万博に参加し、支援できたことを大変光栄に思いました。
万博終了後、一行は大阪の象徴的な水族館「海遊館」を訪れ、特別に企画された「台湾料理交流ディナー」に参加しました。「台湾料理の味」レストラングループは、嘉義の名店「林聡明土鍋魚頭」と提携し、本格的な台湾料理を日本に届けました。創業者たちは、標準化されたプロセスと品質管理を通して、それぞれのブランドがいかにして味を再現し、海外での課題を克服してきたかについても共有しました。これは単なる美食の饗宴にとどまらず、国境を越えたブランド運営の実践的な教訓となり、「文化を産業に、料理を外交に」という可能性を示すものでした。

京都イノベーションフォレストKOINへ

代表団の2番目の訪問地は京都で、京都スマートインダストリー創造の森(KOIN)を訪問しました。京都府と産業界が共同で設立したKOINは、日本有数のスタートアップ支援プラットフォームの一つであり、毎年数百件もの革新的なプロジェクトを誘致し、産学連携とスマートインダストリーの変革に注力しています。
この交流会では、KOINスタートアップ推進部副部長の金山有紀氏が代表団を歓迎し、基調講演を行いました。講演では、京都が異業種共創の仕組みを通じて、「伝統的な職人技と次世代技術」をスタートアップの成長の原動力としてどのように活用しているかを説明しました。金山氏は、「京都の起業家精神は、オープンさと協働性から生まれています。職人技や文化からAIまで、あらゆる技術が相互につながっています」と述べました。また、日本全国のスタートアップインキュベーションデータに基づくと、京都は長年にわたりスタートアップにとって人気の高い選択肢であると述べました。そして、台湾代表団への歓迎の意を表しました。

越境統合会議 × 国際審査員が一堂に会する

イベントのクライマックスは、「2025年越境資源統合カンファレンス ~OVERSEA DEMO SHOW 2025~」でした。京都経済センターで開催されたこのカンファレンスは、日本の知識製造研究グループであるリバネスが共催し、審査員も務めました。
リバネスフィリピン支社のCEOであるイェブ博士と、日本のスタートアップ戦略部門代表研究員である奈美氏が特別に招待され、講演を行いました。
イェフ氏は、「多様な文化と製造拠点を持つ関西地域は、台湾のスタートアップにとって理想的な実験場です。『知識製造』を通じて、協業を真の生産性へと転換していきたいと考えています」と述べました。
奈美氏は「世界を変える鍵は技術だけでなく、信念です」と強調し、「信念×実践×教育」をテーマに、起業成功の根底にある哲学を解説しました。

香港と台湾に拠点を置く多国籍マッピング企業MAPXUS(BeeMap Technology)の共同創業者兼COO、オーシャン・ン氏も講演を行いました。MAPXUSはApple Asiaのパートナーであり、川崎重工業からの出資も受けています。同社のマッピングシステムは、日本各地の三井ショッピングパークららぽーとに導入・商用化されており、近年、アジアの多国籍スタートアップ企業のベンチマークとなっています。オーシャン氏は「都市マッピングのローカライズ戦略」と題し、日本市場への進出の鍵は技術力だけでなく、文化的な理解と長期的な信頼関係にあると説明しました。また、アジアのスマートシティの最新動向についても分析しました。

台湾の3大スタートアップチームが登壇

DEMO SHOWセッション中に、3つの台湾のスタートアップ代表団が正式にデビューしました。
1. CocoMart - ケータリング業界向けに構築されたワンストップ SaaS 調達および供給プラットフォーム。発注、調整、マッチングのプロセスを統合し、ケータリング事業者の調達コストの削減と効率性の向上を支援します。
2. Wildfire Project – AR 拡張現実とスクリプト ゲームを組み合わせた革新的なチーム。Web AR テクノロジーを使用して、景勝地のナビゲーションと没入型エクスペリエンスを再創造することに専念しています。
3. 中山大学視覚研究イノベーション – 眼科医療と視覚医療技術の開発に重点を置き、新世代の医療イノベーションの可能性を実証する学術研究チーム。
3チームは「日本市場への進出戦略」と「国際協力構想」を発表し、審査員や観客から熱烈な反響をいただき、台湾の創造性、勇気、そして積極性を示しました。

ガレージミナト:創造性とものづくりが出会う場所

イベント3日目には、代表団は大阪港区にあるガレージ・ミナト(ネイコープレシジョン株式会社)を訪問しました。ここは、スタートアップ企業と研究者に特化した「創造実現工場」です。メーカー文化と製造技術を融合させたこのスペースでは、オープンワークショップやラピッドプロトタイピング設備を備え、分野横断的なコラボレーションを促進しています。「研究者、職人、スタートアップ企業が互いに理解し合うことで初めて、創造性は現実のものとなる」という理念を掲げています。
イベントでは、好評を博した「サクゴエ」(新しい野球用バッティングベース)が披露されました。伝統的な技術と革新的なデザインを融合させたこの製品は、ガレージミナトの看板商品となっています。このプロジェクトは、参加した台湾のスタートアップ企業に刺激を与え、「イノベーションとは技術だけでなく、人と人との繋がりである」という理念を改めて示しました。台中出身のロータリアンも、このトレーニング機器を台湾の小学校野球クラブに寄贈したいと申し出ました。活発な議論が交わされ、活発な意見交換が行われました。

国際デビュー × CCSPシステムローンチ

最後に、スタートアップハーバー代表団は「超分化社会大阪カンファレンス」に国際舞台で参加しました。リバネス、サイエンスキャッスル、テックプランターといった国際機関が共同で主催したこのイベントは、分野、年齢、国籍を問わず、オープンな形式で17カ国からチームが集まり、最新の研究、プロジェクト、革新的な成果を発表しました。スタートアップハーバーチームは、展示・プレゼンテーションイベントに台湾代表として招待され、光栄に思いました。イベント中、代表団はリバネスの高橋秀一郎社長兼COOをはじめとする国際スタートアップ代表団に対し、台湾が独自に開発した「CCSP Commercial Ship Model System(CORP. & COOP. SAIL PLAN)」を紹介しました。このシステムは、「シップダイアグラム」を用いて企業の12のリソースブロックと6つの主要リソースノードを可視化し、リソースの割り当てと運用状況を容易にします。 CCSPは複数のアクセラレーターや起業家育成プログラムに導入されており、スタートアップ企業のMVP(Minimum Viable Products)開発と市場検証を支援しています。今回の日本における越境展示会は、CCSP制度が正式に国際舞台に参入したことを象徴するものであり、台湾の起業家教育輸出における新たなマイルストーンとなります。

文化から技術へ、概念から行動へ

7日間にわたるイベントは、大阪と京都をまたぎ、文化、製造、起業、そしてテクノロジーの各分野を探求しました。林聡明氏のキャセロールフィッシュヘッドブランドのグローバル展開、ガレージミナトの産業的創造性、リバネスの知識に基づくものづくり哲学など、どのイベントも共通のテーマを示しました。「クロスオーバー」はもはや形式的なものではなく、イノベーションの日常的な一部となっているのです。

ハーバーエンジェルシステムの経営陣は次のように述べています。
このイベントを通して、台湾のスタートアップ企業の力強さと日本の起業家エコシステムの成熟度を目の当たりにすることができました。2025年大阪万博の閉幕までに、より多くの国境を越えた協業プロジェクトを促進し、台湾をアジアのイノベーションネットワークの重要な拠点として確立していくことを期待しています。

ハーバー・エンジェルス・アライアンスが運営する、分野横断的なスタートアップ統合・アクセラレーション・プラットフォーム「StartUP Harbor」は、台湾と日本の起業家エコシステムを繋ぎ、アジア市場におけるスタートアップチームの事業展開と拡大を促進することを目指しています。このプラットフォームは、台北、台中、高雄、バンコク、クアラルンプールのエンジェルクラブ・コミュニティ、スタートアップアクセラレータ「CCSP(Commercial Ship Model System)」、そして海外ブランド・ローカライズド・アクセラレータ「OBLA(Overseas Brands Localized Accelerator)」で構成されています。これら3つが連携し、「ハーバーシステム」と呼ばれるアジアのイノベーションエコシステムの補充、修復、そしてアップグレードのためのハブを形成しています。

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